「原版」概念はコンピューターの普及で「マスタデータとバージョン/サブバージョン」という考え方に置き換わり、さらに処理データが多量・多品種・多頻度になったことで、データ状態の不変を前提としない「データパイプラインの設計・管理」という世界観に移行しつつある。
だけどオリジナル(始源)という考え方が立ち消えたわけではなくて、21世紀の生活者はプライバシー権や知的財産権のあり方を気にするようになったし、事業者の現場・現物志向も健在ではある。
そこで論点になるのは、
・オリジナル(原)やドラフト(稿)の識別・特定
・上記によらない価値や権利の取り扱い
・派生物(derivatives)の意味づけ/価値づけ
といったところかしら。実用的には契約書の読み書きとデータの操作技術に帰結する話だけど、書物論の系譜になりうる、何らかの文化論は求められている気もする。