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 フーコーが『言葉と物』の冒頭で古典主義時代の「エピステーメー」を集約するものとして提示しているのが、ベラスケス「侍女たち」である。

 ここではベラスケスは、作中に自身を登場させているが、当時スペインでは画家が自らの作品に署名するのは許されていなかった。作中では、ベラスケスは宮廷装飾の責任者である「王室配室長」を保障する鍵袋を下げ、胸にサンチャゴ騎士団十字章を着けている。

 現在、レオナルドはともかくとして、(正当にも)ラファエロ、カラヴァッジョ、レンブラント、フェルメールといった「巨匠」として扱われるベラスケスでさえ、貴族に準じる資格は騎士団章によって保障された。つまりこのことによって画中に描きこむことが許された。

 スペイン近世文化の所謂「黄金時代」はスペインの全盛期ではなく、むしろ下降する時代に現れたのは興味深い。

 尚、イタリアでは芸術家の地位が認められるのは、スペインより遥かに先んじていた。とりわけ、「共和国」であることを誇りとしたフィレンツェにおいて。

 ミケランジェロ、そしてマキャヴェリも共和主義者だった。ミケランジェロに至っては、共和制を守るための戦争に軍事技術者として参加している。

 しかしフィレンツェがメディチ家の鯛公国トスカーナ大公国となって芸術は急激に衰退していく。

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