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 ゼミや講義に出席している学生に毎年聞いて見るのだが、ここ10年は「兄弟は他人のはじまり」という諺を知っている人はほとんどいなくなった。

 勿論、一人っ子の割合が増えた、ということもある。

 しかし「承認欲求」との関連で言えば、3-5歳の過程で、兄弟姉妹との間での、「水平」とは言えないまでも「斜め」の対人関係の習得は重要なもの。
 親とはやはり絶対的な「力」の差がある垂直の関係。

 最低限のルールの中で、摩擦も含めた横=「他人」の対人関係の習得は人格形成に大きな役割を果す。

 それとは別に興味深いのは、「兄弟姉妹」という共通だが、中国、朝鮮半島にはこの諺ははないこと。

 朝鮮半島では、兄弟姉妹は「血と骨」と言われるほど「関係が切れない」とされてきたし、中国では長らく、兄弟(血縁)関係の結束は東アジアで最も強固とされる。

 勿論、現在いずれの地域でも都市化により核家族に収斂する傾向はあるが、留学生などに聞いて見ると、やはりまだ日本とは規範レベルで大きな差はある。

 これは実は、近世以来、日本は血縁による連帯が薄く、同時に平等規範が非常に弱く、「通俗道徳」という自己責任規範が強い、という特徴とも関係している。

 序列と結びついた集団同調圧力の強さは、日本、朝鮮半島、中国の順になる。

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