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原発事故で放射性物質が放出されてしまった後に被害をどう見積もるか? というお話と、意図的にALPS処理水を海洋放出する話は、まったく論点が違う。

前者は「起きてしまった事故をどうするか」。ここで「避難地域以外の放射線量の実測値はICRP勧告の範囲内なので大丈夫だ」と説明してパニックを抑えることには合理性はあるだろう。

一方、ALPS処理水を海洋放出する場合、「処理、希釈し、ICRP勧告の何分の1かの低レベル放射性物質なので、問題ありません! 反対する奴らは非科学的で風評加害者!」とする言説に正当性はない。ALPS処理水のような低レベル放射性物質には「リスクはほぼない」と考える科学者もいるが、「未知のリスクがある」と考える科学者もいる。科学的決着は付いていない。

IAEAの原則は、正当性、つまり「放出のメリットは、リスクを上回らなければならない」ことを求めている。本来はIAEAが下すべき正当性の判断を日本政府に丸投げしたとして、IAEAを批判する科学者もいる。

処理水の海洋放出は、東京電力にとって最も低コストな方法だ。だが太平洋諸国にとっては最も高リスク。日本政府はその正当性を説明する義務を十分に果たしていない。

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