実際、フランスは現在に至るまで国家秩序への同意の調達が不完全な状態が続いています。
第三共和政は比較的長く続いた方ですが、第四共和政は植民地帝国の解体に失敗、クーデターにより崩壊。第五共和制も1968年には「革命」と呼び得る事態にまで追い込まれました。
この「同意の調達」の不足と相補的と言えるのはフランスの「警察国家」としての側面です。
これはベネルクス諸国で言うと、ベルギーはフランス的、オランダはドイツ的とはっきり分かれます。
逆に言うと、オランダ、ドイツはコーポラティズム的システムによってある程度「ボトムアップ」的な政治的決定のメカニズムが働きます。勿論新自由主義的再編によって、この「ボトムアップ」システムも機能不全化しつつはあるのですが・・・
逆にフランスは「社会」・「家族」に対する国家の介入できる範囲は他国より小さい。
例えば19世紀末からの欧米(+日本)の福祉体制は「断種政策」と1970年代まで不可分でした。つまり「有益」でない人口に資源は投入できない、ということです。
この断種政策の唯一の例外はフランスです。これは社会や家族に対する国家の介入力が「弱い」ことと相関している。
マクロンの現在の「年金改悪」の焦点はー退職年齢引き上と共にー制度の運用を国家に移す、というものです。