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先日、『チ。』についての長文の考察が流れてきて、「なげーよ……」と思いつつも読んだ。わたしはこの分野の研究者でもないし、そもそもこのマンガ/アニメを見てすらいないので、本来はあまりこれについて語らないほうがいいのかもしれないけれど、そういう研究者と物理的に近いところに生息しているのと、この問題とくしくも無関係ではない立場になっている(だから本当は一度読んでおくべきでだと思う)。
そういう身で想像するに、ひょっとしたら批判する側の立場はたとえていえば、「ある歴史上の事件が発端は日本人のせいだと世界で誤解されていて、日本人研究者やらジャーナリストやら外交官やらが、一生懸命調査し研究しアピールして、ようやく濡れ衣が晴らせたと思ったら、ハリウッドが『日本人のせい』ととられかねない映画を作っちゃって、しかもそれが出来が良くてすごく面白くてヒットしている」のを見たときの徒労感、みたいなものじゃないだろうか。
もちろん、わかる人はわかるのかもしれないし、最後まで見ればきちんと説明されているのかもしれない(そうらしいという話も聞く)けれど、世間はそこまできちんと見ずに、「そうなんだ! ひどいね!」と思い込む人がたくさんいるので……。

先日もTwitterで、昔の芸術をつぶやくというふれこみのアカウントが、ある事件についての間違った情報をツイートして、リプライ欄が「そうなんだ! ひどいね!」の大合唱になっていた。そしてアカウント主は、「それは違うのでは。ソースは〇〇」という反論はスルーして、「そうなんだ! ひどいね!」にはいちいち「そうでしょう! ひどいよね!」と返事していた=煽っていた。問題はその間違った情報というのが、特定の民族や宗教への憎悪を持たせるような内容だったこと……。

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