杉江松恋さんとの月刊SFレビュー番組「これって、SF?」、11月号その2です。
毎月の新刊SFの数には偏りがあるので、月刊だとどうしても取りこぼしが出てきます。というわけで今回は、夏の忘れ物を取りに行く回となりました。
私は、8月刊の山田宗樹『ヘルメス』(中央公論新社)を紹介しています。
序盤のあらすじからは予想できない、意外な展開が待ち受ける一冊です。抗う/諦めるの二分法では分けられない、小惑星衝突ものの中でも独特の味わいを持つ終末SFになっています。基本的にエンタメ小説の骨法で書かれているので、あんまりSF読んでないなあ、という方にもおすすめ。
杉江さんが取り上げられたのは、同じく8月刊、新馬場新『沈没船で眠りたい』(双葉社)です。
自然なモチーフの反復によって登場人物たちの切実さが胸に染み込んでくる、AIもののシスターフッドSFです。新馬場さんは、新作『十五光年より遠くない』(ガガガ文庫)も今月刊行されますね。来年のSFセミナーにも登壇されるそうで、いま注目の新鋭作家の一人です。