ハビに旋毛がふたつある前提のスコットの話になるんですけど
スコットにはハビの旋毛がふたつあることを知っているのは世界で自分だけと思い込んでいてほしい。
巻き毛からのぞく台風の目に似たそれがふたつだと気づいたのは会社を興して間もない頃だったのね。あえて口に出すようなことはしなかったけど、気づいてからというものなんとなく気分が良かった。隣にいるからこそ彼の秘密を得られたみたいで。俗に言う優越感。そうして人員をかき集めて事業も軌道に乗ってきたある日、チームメイトが会話の流れでさらっと「ハビの旋毛は双子だからね」と発言したことで一瞬時が止まるんだ。
学生時代は髪型に悩んだなあと笑うハビの横で最初に頭に浮かんだ疑問は「なぜこいつが知っているんだ」で、次に浮かんだのは「なぜ俺だけが知っていると思っていたんだ」
ちょっと考えればそんなわけないと分かるのに何の根拠もなく家族も友人も下手したら本人さえ知らないようなことを自分だけが知っていると無邪気に信じ込んでいたと初めて自覚して愕然としてほしい。
スコットにこんな冷静さを失うほど浮かれた可愛気あります?といったら微妙だけとそこは大目に見て…