永冨真梨「彼らの系譜としての大衆音楽史」(『入門 ポピュラー音楽の文化史~<戦後日本>を読み直す』)、おもしろい。

"従来の日本の大衆音楽史は、男性性の変遷とともに構築された「彼らにとっての系譜」であり、大衆音楽の受容の変遷は、日本人の男らしさとはどうあるべきかの議論と不可分であったことを示したい"(p.205)

単に大衆音楽の受容とそれにまつわる語りの歴史が男性中心主義的だったというだけでなく、むしろその歴史じたいが規範的な男性性をめぐって構築されてきたのではないか? という話で、かつそこで日本におけるカウボーイ表象やウエスタン/カントリー音楽の受容を見ていくことで、帝国主義時代から戦後(70年代くらいまで)を貫く視点が得られるという……

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第一章の青木深「アメリカの「支那の夜」――太平洋を渡った「極東」の歌」おもしろい。第二次大戦~占領期~朝鮮戦争にかけて米軍の将兵たちに「支那の夜」が流行していたことを検証し、日本の流行歌が越境していく様子を描き出していく。というのを踏まえて結論でさりげなく"「スキヤキ」の大ヒットがそもそも「支那の夜」の浸透に準備されていたと私は考えている"と言われると戦後ポピュラー音楽史の背景に戦前・戦中・戦後をまたいでの戦争(そして冷戦)を通じた流行歌の越境があることがぐわっと出てきておもしろい

青木深といえばこれだよな~ちゃんと読んでないな。などと思った。

めぐりあうものたちの群像 - 株式会社 大月書店 憲法と同い年 otsukishoten.co.jp/book/b10719

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