佐々瞬&伊達伸明構成・制作のせんだいメディアテーク「自治とバケツと、さいかちの実」、戦後に「応急簡易住宅」として戦災にあったひとや海外からの引揚げ者が暮らした追廻住宅が、仙台市の緑地計画の対象となり立ち退きを迫られ……と国や行政に翻弄されながら団結して営んできた暮らしの記録と記憶を展覧会に構成。ふらっと立ち寄ってみたけれど、インスタレーションという形態と、あるコミュニティの歴史を再構築して残す試みとが、うまくマッチしていたと思う。リサーチベースのインスタレーションが、いわゆるコンテンポラリーアートの文脈から外れて、せんだいメディアテークのミッションとちゃんとシナジー起こしてるというか。公式に書き残される記録からはこぼれ落ちるディテイルを断片的なエピソードとして示すのも良いし、そこにあんまり公に残らなさそうな陰影が落とし込まれてるのも良かったと思う。「誰々の展覧会・作品」とかを目当てにしてしまいがちだが、そうではないところに見どころがあった。考え出すといろいろ批判もできそうだけど、大事な試みではある。写真撮れるスポットが少なかったけれど、おそらく展示物の権利関係に配慮してだろう。