小学校のとき、はだしのゲン、映画を全編観たの覚えてる。三年生だった。担任の先生の悲しそうな顔も覚えている。怖かった。だけど自分の家の墓碑に刻まれたたくさんの名前の下に同じ日付が書いてあったのに気づいた瞬間の方が怖かった。八月九日。三ヶ月で亡くなった子がいた。父になぜそんなに小さな子が死んだのか尋ねた。原爆のことと祖父の家族のことをはじめて知った。
自分の子供が学校ではだしのゲンを学んだらと考える。学ばせてくれと思う。見せてほしいと思う。子供が自分で選ばないものこそ、いっしょに考える時間や空間をつくってほしいと思う。配慮が必要だと思うのなら、その方法を考えてほしいと思う。決して子供の手の届かないところに隠さないでほしいと思う。