新文芸坐のオールナイト上映に行く。3年ぶりである。2016年頃はかなりの頻度で通っていて、人が人を食べる映画だけの4本立てから人の身体が溶ける映画だけの4本立てまで、広範にわたる様々なプログラムを当時は観た。私は非喫煙者だがオールナイト上映の日だけは喫煙者に擬態、今は無き喫煙コーナーにて交わされる映画オタクの深げな会話に聞き耳を立てるのが楽しかった。毎回見かける老婆がいて、陣取る席は決まって左側前方、お土産袋を沢山抱えており、どんなジャンルのプログラムであれぽつんと一人座ってそれを楽しむ不思議な人だった。同僚にその事を話すと「未来のあなた自身と思いますよ」と言われた事が一度あるが今回は見かけなかった。朝方上映が終わると劇場の側の一蘭に行き麺を食べて帰るのがルーティンで、久々にそれを実践したが店内はおぞましい混み方をしておりかなりの池袋だった。知らない人達で集まって、スクリーンに反射する光をぼんやり眺めて朝まで過ごすのは奇妙で好きだし、驚天のB級作であっても稀に万雷の拍手が起きたりと、まばらであれ仮設の一体感が発生するのもいい。ただスナックの販売が終了しているのでそこだけは気をつけたい。