『思想』の田辺元特集を読んでいる。しばしばデリダは田辺と比較されることがある。それは当然彼らのヘーゲル主義的な記述によるからだろうし、喪の問題と懺悔との相性もよかったのだろう。ただデリダはルソーを道徳ではなく、感性論的に読むべきだという趣旨のことを書いている。その意味で、死の哲学からではなく、むしろ個と類を媒介する時空間論としての世界図式をアップデートする方向から読む態度をこそ読んでいく、そういう筋があるという方向の面白さ。こっちは数理論、技術論の方向でも生きており、戸坂、三木と同様に読んでおいて然るべきだと感じる。セカイ系批判を共同体回帰というよりは技術論でいく筋。