キャラクターにフラッグを持たせたりシンボルカラーをまとわせたりする、メッセージ性を前面に打ち出したファンアートの話題。まず、作者が不快感を持っており、かつそれを表明したとして、それには(ファンに対する圧力にはなっても)そうしたファンアートを禁ずる力はないはずだ。
受け手に渡った作品について作者ができることはほとんどない、と私は考えており、ファンアートへの干渉も基本的にはできないという考え。
そのうえで、キャラクターに政治的な主張をまとわせるファンアートを作者としてどう思うか?と問われたとき、私は「全面的にOK、好きにやってほしい」とは正直なところ思えない。
プライドフラッグなら拙作の登場人物にどんどん持たせてほしいが、日の丸や旭日旗を持たせられたらちょっとゾッとする。そういうファンアートをやるなとは言えないが、目にしてしまったら穏やかではいられないと思う。
作品を受け取ったひとがどう思い、それに対して何を表現するかは私の干渉や侵害の及ばないところにある、と再三前置きしたうえで、私は、私と同じ方向性の政治的な主張であればファンアートで表現してもらえることはとてもうれしいし、対立する思想、たとえば現政権与党を応援する台詞などを拙作のキャラクターに言わせられたら、もうめちゃくちゃに不愉快になってしまう。
「政治を持ちこむな」みたいな話をされるとき、現政権与党側とかいわゆる「右」の政治性は透明化されるよな、ファンアートに添える意匠としてはプライドフラッグより日の丸のほうがよっぽど「政治」じゃん…と思って、アッ私が刀剣乱舞の二次創作に感じていた危うさはこれだわ、というところに着地してしまった。 政治的であるということを意識すらせず、ただ「なんかかっこいいから」というだけの理由でキャラクターに日の丸を添えるようなことを私自身もやっていた。日の丸に誇りを感じる人ならそういう表現になっても筋は通っていると思うんだけど、私はむしろ忌避感があるほうで、そういうことはあんまりしたくないし、気づいた以上もうできないなと思って離れたのでした。清光や長谷部や鶴丸のことはずっと好き。
差別など一般的にアウトとされる表現でなければ、という留保は当然つくが、基本的には政治的なメッセージを前面に出したファンアートを発表することはぜんぜんやっていい。そもそも誰かに「やっていい」とか言われる筋合いのことでもないし、作者だろうが侵害できない。あらゆる表現には政治性がついてまわる、ということももちろんその通りだ。
そのうえで、作者が「自分のキャラクターにプライドフラッグを持たせてほしくない」という感じを漂わせているなら、この作者はプライドフラッグにポジティブな感情がないんだな、と私は邪推してしまいますね。