関東大震災時に朝鮮人をかくまった大川常吉鶴見警察署長のエピソードを強調したくなる気持ちはわからんでもないが、藤岡信勝・自由主義史観研究会の『教科書が教えない歴史』(産経新聞ニュースサービス、1996年)にも「勇気と友情の物語」章に登場するのはなんでかなと考えたほうがいいのでは。「国民の物語」的美談として称揚されることで、官憲の煽動・誘導に端を発する自警団の朝鮮人・中国人虐殺が後景化されるなら本末転倒ではないか。
神奈川新聞の記事では「当時の日本人にとって、朝鮮人は植民地からやってきた「二等国民」だった。日本人と同等に扱うべき存在と考えることができたのは、少数だった。警察官が住民を守るという当たり前のことが美談としてたたえられる社会状況。その異常さにこそ、目を向けなければならないはずだ。大川署長は、その背後にある虐殺という歴史の暗部を照らし出す存在でもあるのだ。」と釘をさしている。https://www.kanaloco.jp/news/social/entry-41781.html