劇場と配信で観た演劇『長い正月』がすごく良かった。2024年ベストの1枠が確実に埋まるほどに良かった。
大正12年の大晦日から令和6年の元日まで、ある家族の100年を通り過ぎてゆく幾つもの生と死、夢と失望、悲しみと喜びを、正月という定点から見せる100分間。家族の輪郭が消えても想いは残る。なんと壮大でささやかな家族劇!
ここで描かれる家族は規範に適合する「家族」の温かい保護を無自覚に享受できる「普通の日本人」が主で、そこから排除された人々の姿は見えず、戦争や不況の影響は受けつつも家族の外にある社会と政治への視線はほとんどない。すごく内向きで綺麗な物語だと思う。でもそれがいけないわけじゃない。
家族の茶の間が見続けた100年はそれでも時代が、規範が、正月が、家族という形が不変ではないことを示し続ける。何もかもが失われていく中で、生きて共に新しい年を迎えることのできるさみしさと喜びよ。生き抜くことそのものへの祝福を感じる作品だと思います。ぜひ。
⚠購入は1/21 日 22:00まで
⚠視聴は1/25 木 23:59まで