橋下徹ですら斎藤元彦を批判しているわけですが、今回の兵庫県知事選は先日の衆院選と並んで、日本の政治のターニングポイントになったのではないかと思います。

1.「ポストトゥルース」の勝利
今回の選挙では、多くの有権者がSNSやネット動画などの情報に基づいて斎藤元彦に投票したわけですが、新聞・テレビ離れが進んだ結果、マスメディアの影響力が低下したことが明らかになったわけです。2016年の米大統領選から8年を経て、ついに日本でも「ポストトゥルース」が選挙を左右する事態となったのです。

2.「空虚」なポピュリスト
今年の選挙で躍進した人物といえば、斎藤元彦のほかに石丸伸二がいるのですが、この2人に共通するのは、あまりにも「空虚」な人物であることです。ポピュリストといえば、橋下徹や小泉純一郎など、強烈な個性と明確な主義主張を持ち合わせている人物が多かったものですが、斎藤と石丸にはそれがない。政策論すら語れない「木偶(でく)」のような人物に人々が熱狂する様は、橋下や小泉とは違った不気味さを感じるのです。

3.ポピュリズムと自民党との「蜜月」の終焉
小泉構造改革からアベノミクスまで、自民党の支持基盤はポピュリズムだったわけですが、先日の衆院選でそのような蜜月関係は終わりました。今や、ポピュリズムの熱狂の対象は、大阪の地域政党に戻りつつある日本維新の会ですらなく、国民民主党やれいわ新選組、斎藤元彦や石丸伸二などに移っているのです。

ただ、このような現象は日本だけでなく、米国をはじめとする世界中で起こっていることなので、「民主主義の危機」どころか「近代の終焉」というべき事態なのかもしれません。

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