辻山さんの新刊、業界内的には大盛り上がり間違いなしなんだけど、話を聴きにいった先が辻山さんの旧知の中=業界内部ではすでに有名な人ばかりなのがもったいないというか、本屋界隈のだめなのはこういうところだよね、という典型になってしまっていて残念ではある。どうせなら辻山さんが知りもしなかったような本屋に会いにいったほうが、辻山さんも新しい発見があっただろうし、辻山さんに紹介されればその本屋も知名度があがって生存確率が高くなる。これじゃあ「やっぱり本屋っていい仕事/場所だよね」ということの再確認にしかならない。どうせなら「本屋Title・辻山」という権威をフル活用してほしかったのだけど。
本屋っていいところだよね、いい仕事だよね、ということを確認するための本はいくらあってもいいし、それ「だけ」の本なら特に批判的な言及はしないのだけど、往々にしてそのような本には「本屋の未来(はここにある)」的な要素がくっついてくるので、それを入れてくるなら批判せざるを得なくなるというか、厳しい監査が入るのは仕方ないと思うんですよね。
これはシェア型本屋でも同じで、シェア型本屋を単に「たのしいからやってます」だけで紹介するのなら文句はないしどんどんやればいい、なんだけど、そこにはやっぱり「本屋の未来」みたいな意味合いをつけてくるから、へいへいシェア型本屋ってのはよ、搾取構造を横もしくは下にスライドさせただけで、根本の問題はなんも解決できてねえんだぜ、と言わざるを得なくなる。