欲望を抱いているだけで罪になるのであれば、それはそのうち欲望を抱く「可能性」があるというだけで罪になる状況にスライドするし、さらに進んで欲望を抱く可能性のある「属性」そのものが罪になる。

仮に本屋という属性を持つ私が無差別な殺人欲求を抱いているとして、それを実際におこなう前に罪とされるのなら、そのうち私だけではなく「本屋」そのものが殺人欲求を抱く可能性がある存在として罪になる。

本屋と殺人欲求には直接の関わりはない、という反論がくるかもしれない。では本屋である私が「ヘイト本を置きたい」という欲求を抱いているとして、実際にヘイト本を置かずとも罪になるのなら、そのうち「本屋」そのものがヘイト本を置く存在として断罪されるようになる。

確かにヘイト本が置かれている=加害行為をおこなっている本屋は実在する。そしてあらゆる本屋はヘイト本を置く可能性を持っている。しかしだからといって「あらゆる本屋にヘイト本がある」とは言えないし、無自覚に置いてある/意図的に置こうとする意思がある「可能性がある」からといって、すべての本屋を一律的に罪に問うこともできない。

欲望や加害可能性≒属性でもって罪とする、というのはこういうことではないか。

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多くの者が「○○」という属性の文字列を見るだけで拒絶反応を起こして、その先に展開されている理論を真剣に検討することができなくなっているので、私は「まず抽象的な理論で納得させる→じゃあその理論に具体例を当てはめてみよう→○○もこれに該当しますね」という流れにするやりかたでたたかうことにします。

「属性の文字列を見るだけで拒絶反応を起こして、その先に展開されている理論を真剣に検討することができなくなってしまう」というのは、残念ながらまさにそれこそが偏見による差別そのものなんですが......。

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