小柳かおるさんの『第二言語習得について日本語教師が知っておくべきこと』を読んで考えたことのメモをちょっと貼って行こうと思います。 amzn.to/3UApkwO

つい最近まで、『暗示的学習』こそが運用能力に繋がる「手続き的知識」を得るために最も有効なのでそれのみを行っていればよいのだと思っていました。しかし最近は「宣言的知識」と「手続き的知識」の「弱いインターフェース」をポジティブに評価してもよいのではないかと思えてきています。具体的な方法論としては庵功雄さんたちが『にほんご これだけ!』に付録にしていた「これだけ したじき」のようなやさしい日本語初級シラバスStep1,2の概略をまとめたプリントのようなものを作って、最初にオリエンテーションを行ってしまって、それをある程度頭に入れておいてもらってから、じゃあここからは行動目標別の会話やトピック別の語りの産出活動を行って、(もちろんときどきFoFで確認しながら)頭での理解を体験的に使える知識として身に付けていきましょうというやりかたです。

Step 1 の文法の導入の要点としては
・日本語は常に主語と動詞でできてはおらず、主題部と述部でできており、述部の品詞によって名詞文・動詞文・形容詞文に分類でき、述部だけでも文として成立する。
・初級前半ではですますの丁寧体をもちいる。その語尾変化だけ最初に覚えてしまうと楽。
・あとは、格助詞、終助詞、副詞、疑問詞など。

フォロー

FoFのようなコミュニケーション活動の中で場面に応じた文法項目の導入や補足説明を適切に行うには、教師の「動的文法教育能力」が必要となる。c.f. 小林ミナacras.jp/?p=7478

ロールプレイには真正性がなければあまり意味がない。ロールプレイをすることが目的化してもよくない。例えば入門初期に買い物の場面で店員役を学習者にやらせるなどは、サービス業の就労者向けでもなければやめておいたほうがいいように思う。

行動中心アプローチが単なるフレーズ集に陥らないことが重要。

学習者の分析能力が高いかどうかによって、暗示的学習が向いているか明示的な学習が向いているかがちがうし、文化的な背景によって学習観の違いも大きい。ヨーロッパの方はCEFRネイティブの言語教育を受けて育っているけれども、ベトナムなどの教育には科挙制時代からの封建的教育観が残っている。最近の中国の人は論語の「これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」はアクティブラーニングの先駆例で、中国の伝統に一日之長があると言っている。

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