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「第一次世界大戦の後で。敗戦国ドイツで二つの重要な著作が刊行された。ひとつはマルティン・ハイデガーの『存在と時間』(一九二十七年)であり、もうひとつはヴァルター・ベンヤミンの『ドイツ悲劇の根源』(一九二八年)である。前者は、人間存在の根源を存在論的概念をもって…後者は、十七世紀のバロック演劇を人間存在の根源から美学的に解釈したしたものである。…どちらも戦争と革命という社会的にして文化的な危機のなかで、存在の根源に死を見ぬかねばならなかった。二人の思想家が、死を人間の存在論的条件においたことは決定的に重要である。」(今村仁司『貨幣とは何だろうか』ちくま新書1994年、pp.32-33)
近代とは、死者が語らなくなった時代。死者の声が聞こえなくなったなった時代である。

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