「一万年前には、自然物をあさり尽くし、焼き尽くし破壊し尽くす農耕牧畜型、定着タイプのホモ・サピエンスの新しい波が、洞窟芸術を楽しんでいた漁撈採集民のすむ南ヨーロッパに押し入ってきたのではないか?」
(島泰三『ヒトー異端のサルの1億年』中公新書2016年,p.227)
洞窟壁画を描いた狩猟採集民と神殿を作った農耕牧畜民の宗教は、全く別物といっていいほどの違いがあることだろう。
「農耕以来、ホモ・サピエンスは栽培植物と飼育動物の知識を第一とし、それ以外の周囲の生命をすべて害虫獣と雑草として区分した。
有用かどうかを基準とする世界観は、人の評価に拡張され、人を有用か無用かで分別するようになった。」(同,pp.235-236)