「構造の温存は対抗言説の簒奪から始まる」というフレーズ、誰の言葉だったかなとこの数日いろいろと記憶の引き出し引っ掻き回しているんだが、なかなか思い出せない。日本国内の性分化疾患の患者の皆さんたちが置かれている現状を見ていると、ドンピシャの言葉と思うが、あらゆる差別に反対すると言いながら、患者当事者からの訴えをも「差別」だとして撥ね付けるこの精神構造の幼稚さと暴力性はきちんと記憶し、記録しておきたい。「差別者」は容易に歴史を修正する、それは思想の左右に関係はない。
Twitterでも紹介したジョージオーウェルによる「今のブルジョワ知識人は労働者階級の共通文化と人生経験から切り離された浅い思いつきの中で生きている。彼らは殆どの時間を敵と定めた、しかし彼らと同様にブルジョアである頑迷保守と口論することにその時間を費やしている。彼らは互いを軽蔑しているが共に労働者階級に対する相互軽蔑では団結している」という痛烈なる皮肉は労働者階級のところを女性と置き換えれば今の時代にも通用する言葉だ。今の日本では女性労働者階級というのは最下層に位置付けられている、残念ながら。その労働者階級からも落ちてしまった人たちは人間扱いすら許されることはない。しかもこの位置付け、左右の思想に関係ないというところがさらに絶望的である。