America, your food is so gay の掲載誌『ラッキー・ピーチ』について もっと見る
翻訳に付した解説ではあまり踏み込みませんでしたが、掲載誌の『ラッキー・ピーチ』もけっこう面白いんですよね。この記事が載った号はジェンダー特集なんですけど、表裏どちらからも読める作りになっていて片方が「男性用」、もう片方が「女性用」と銘打たれ、真ん中には「セックス」セクションが置かれています。こう書くとすごくバイナリでヘテロ的なんですが、執筆者や内容の観点からは構造以上に多様です(たとえば「セックス」セクションではハロルド・マギーが生物の再生産の多様性について書いていたり、トランス作家を含むイラストレーター陣によるエロティックなイラストがあったりします)。それでも、雑誌全体でみるとボーイズクラブ的な傾向を否定できないのも確かです(特に初期の号がそうだった、とはバーゾルも指摘しています:https://www.cpr.org/2016/07/05/in-the-queer-kitchen-food-that-takes-pleasure-seriously/ )。あまり綺麗な形ではない休刊の経緯や、主要メンバーの一人だったピーター・ミーハンが後に移った職場でハラスメントで問題になったりと、総括には慎重さが必要な媒体ではありますが、料理雑誌の世界に変化をもたらしたことも確かだと思います。
ちなみにアンソニー・ボーデインも常連ライターの一人で、このジェンダー特集号では "The Ten Manliest Meals in America" という文章を書いています。もちろんまじめに選んだりしているわけではなく、男性誌にその企画を依頼された、うらぶれたフードライターが主人公のハードボイルドパロディっぽいフィクション(?)です。
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