レイ・ブラッドベリ 著『火星年代記/新版』(小笠原豊樹 訳)を読んだ。
目次は年表になっていて、主人公の違う短編が時系列で27おさめられている。
新版は、年代記の始まりが1999年から2030年に改められ、著者の序文と2短編が加えられているそうだ。
最初は一体何が起きているのだろうと思うけれど、このいくつもの短編を読むうちに火星や地球の全体像が見えてくる。
科学技術などの難しい話はほぼ書かれておらず、SFらしくないと言えばそうかもしれない。あくまでもこれは年代記なのだ。
喉元にナイフを突きつけられたような恐怖を味わう話もあったし、心を押しつぶしてくるような話や、神秘であったり、詩的で美しい話もある。
目線が変われば当然見えてくるものも違っていて、それぞれの主人公の立場で真実を見せてくれるのが良かった。
この作品の中で描かれている火星移住の過程は、人類全体で見ると酷く愚かでどうしようもない行為のように見える。
でも一人一人の感情や生活、人生に焦点を当てると、また感じ方が変わってくる。その複雑な気持ちを抱えながら読んでいくうちに、これ以降の年代記も読みたくなった。
現在にも置き換えて考えることのできる物語だった。
@bloodymfkr
私もこの本好きだなぁと思いました
印象的な話が沢山あるし、ラストもゾッとして良かったです。