フランツ・カフカ『変身』(原田義人 訳)を読んだ。
あらすじだけは知っていたけれど、突然虫になるってどういうこと?!と、なんとなくとっつきにくさを感じていた小説。実際に読んでみるとかなり印象が違う。
主人公のグレゴールは朝目覚めたら巨大な毒虫になっていた。その設定は自分でも意外にすんなり受け入れて読めたけれど、読み進めるほど、重要なのはそこじゃない気がしてくるのだった。虫という一点だけで、これまで避けていたのは勿体なかったな。
ひたすらグレゴールの苦悩を読むのかなと思ったら、徐々に家族の言動にフォーカスが当たっていく流れが自然でよかった。
虫になるその瞬間までは親孝行で妹思いの、よき息子でよき兄だったはずなのに、いざ状況が変化してみると、これまでグレゴールの存在が家族にどんな影響を与えていたかが表れてきて、複雑な気持ちになった。
それでも人は前を向いて生きていく必要があるし、切り替える勇気がなくてはこの先やっていけない。
中心になって家族を支えていた人物が、突然なんらかの事情でそれを続けられなくなることはどの家庭でも起こりうることなので、色んなパターンで置き換えて考えてしまう。特にこのラストは身にこたえる。
@ShinKaonio
読んで良かったです〜!
途中「なんでこんなに悲しい話を書くんだ〜!」と叫びたくなったんですけど、何歳のときに読むかで、その受け取り方も変わりそうです
また時が経ってから読み直すのはいいですね
家族愛か〜。本人かどうかも確認できないまま、なんだかんだで面倒を見ていた家族のことを考えると胸がぎゅっとなります
@erin
これいいですよね。
最初に読んだ高校生の時には何か間違ったものを口に入れたような不快感と苛立ちと少なからぬ混乱の中に置き去りにされた記憶があります。
再び読むとは思ってもいなかった『変身』ですが、50歳を過ぎて読み返した時には、むしろグレーゴルに対し懐かしさすら感じ、そして家族愛という言葉を思い浮かべました。