津村記久子『アレグリアとは仕事はできない』読了。
中編二作品。表題作は1ページ目から面白くて笑ってしまった。
職場の大型複合コピー機と女子社員ミノベの戦い。なぜかまともに動いてくれないコピー機に、痺れを切らして怒り狂うミノベ。
一般的に他人が怒っているところってあんまり見たくないし聞きたくないものだけれど、ミノベがあらゆる表現で罵倒するのが可笑しくて不思議な感覚になった。
例えばその場で実際に耳で聞いたとしたら、笑っちゃって余計にミノベを怒らせるだろうな。
コピー機のくせにコピーできないなんて存在価値がない。その主張はよく分かる。でもそれだけ怒るエネルギーがあったら何か他の有意義なことに使えそうなのである。
ただのコピー機の話なのになんでこんなに面白いのかよく分からなかった。
二作目は朝の満員電車を舞台にした話。
こちらは表題作とは打って変わってシリアスで気持ちが沈んでいった。同じ車両に乗り合わせた四名の視点で電車内の出来事を見ていく。
人は見たいものしか見ていないかもしれないと思った。
隣で何が起きていようと気づかない人は気づかないし、気づいていてもみんなに正義感があるとは限らない。
現実はつらいなぁ〜!