貴志祐介『十三番目の人格 ISOLA』読了。
SFサイコホラーかな?
タイトルから解離性同一性障害(多重人格障害)の話だとは思っていた。
心理学の専門知識なども沢山出てきたが、スルスルとあっという間に読めて面白かった!
主人公が多重人格なのかと想像していたらそうではなく、"相手の感情を読み取る"という特殊な能力を隠し持って生活している。
この能力がまた厄介で、私なら絶対欲しくないなと思った。他人の感情、一生分からないままの方がいい……!そのほうが平和でしょ!
1995年の阪神大震災の後、主人公が心を読む能力を活かしてボランティアをしていた先で、一人の少女に出会う。その少女が十三人の人格を内に持っている。
明るく利発に見える彼女に何故これほどたくさんの人格があるのかという謎や、タイトルのISOLAという異質な人格の秘密を探っていく過程が不気味で引き込まれた。
そこには人間の悪意や愚かさ、悲しみや後悔が渦巻いていた。余韻のあるラストが良い。
得体の知れないものに対する不安でゾッとする感覚はあったが、怖さはそこまでなく、ストーリーの面白さや展開の驚きの方が強い。
これ、著者のデビュー作だというのが一番恐ろしいかも。