深町秋生『ヘルドッグス 地獄の犬たち』読了。
映画よりも、えげつない表現が多い!
でも映像では避けたいであろうシーンは、緊迫感でハラハラさせられ引き込まれた。「うわー!」とか「えー?!」とかつい口に出てしまう。
東京のヤクザ組織に属する主人公は、実は警察から極秘に送り込まれた潜入捜査官。その腕っぷしと冷酷にやり遂げる仕事の正確さ、組織への忠実さを買われ、数年で若頭補佐まで登り詰めた。
警察上司からの命令と、組の親父からの命令。その板挟みになる主人公の苦悩と、極道に徹した演技を読むのがだんだん辛くなってくる。
どうしても映画の俳優たちが頭に浮かんできてしまうが、みんな違和感はなかった。
兄貴に絶大な信頼を寄せる弟分の存在だとか、親と子の関係だとか、擬似家族でもそこには強い絆があり、映画と同様に感情移入して胸が痛んでしまうことも。
ストーリー上、警察も極道も戻れないところまで来てしまった感があり心底悲しかった。
両者共、生き残り勝つためには手段を選ばない。
これ以上人が苦しむところを見たくないけれど先を知りたくて、私まで苦悩しながら読んでいた。このどうしようもない辛い話、癖になる。シリーズを揃えて読みたいと思う。