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宇佐見りん『推し、燃ゆ』読了。
第164回芥川賞受賞作。

推しているアイドルがスキャンダルを起こし炎上してしまうが、それでも心変わりせずに推し続けるという一人の女子高生の話だった。

「推す」という行為、分かっているようで理解が足りなかったかもしれない。全身全霊でアイドルを追いかけ、健全さを失ってでも突き進んでしまう主人公を見て、「推す」ってこういうことかと、腑に落ちた。

推しを形容する時や、心を動かされた時の表現力は他を圧倒する熱意がある。
主人公は、推しに関しては語彙力が向上するタイプのオタク!
その熱い思いを読んでいるうちに、誰かを推すという行為はどのジャンルでも共通するものがあるのだなと、自分の思い出が蘇ったりもした。

なんらかの障害を持ち、生活や学業に支障があり八方塞がりの主人公を見ていると、分からなくもない気がして気持ちが沈みそうだった。
生きづらさを抱えた主人公がこれからどんな道を歩むのだろうと考えてしまう。

でもこれは推しを通して何かを得たという、前向きな話だと捉えた。どんな結果になろうとも、それは人生に必要だったはず。
誰かや何かに、我を忘れるほど熱中したことのある人には響く物語だと思う。

kawade.co.jp/sp/isbn/978430902

すごく分かる!!と思った箇所抜粋。 

"その目を見るとき、あたしは、何かを睨みつけることを思い出す。自分自身の奥底から正とも負ともつかない莫大なエネルギーが噴き上がるのを感じ、生きるということを思い出す。"

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