『ウィッチャーIエルフの血脈』
アンドレイ・サプコフスキ 著
川野靖子/天沼春樹 訳
種族入り乱れた政治と戦争の話だ。それぞれの立場と正義があり、どれも手放しで応援することはできなくて現実味がある。
頭の中でドラマとリンクさせながら、広大なファンタジーの世界で魅力あるキャラクターたちに再会した。人間味溢れる会話の掛け合いの最中も映像や声が生き生きと蘇ってくる。
魔法剣士ゲラルトの寡黙で不器用なところ。
吟遊詩人ダンディリオンのお調子者だけど憎めないところ。
王族の生き残りの少女シリは生意気で同時に素直なところ。
女魔法使いイェネファーの気の強さの中に秘めた愛の可能性。
他にも沢山の愛すべき人物がこの世界で生きている。
中でも特に女性たちの心を覗きたくなってくる。様々な困難と戦い、複雑だからこそ美しく、心は自由で逞しい彼女たちがどんな人生を切り開いていくか。運命や、深度を増していく強い結び付きが何をもたらすのか。
人と人が信頼を築いていく過程が私には美しく見えた。まだ序章なのでこれからが本番。
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