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石井遊佳 著『百年泥』読了。
百年に一度の洪水に見舞われた南インド・チェンナイで日本語の教師をしている主人公。
数珠繋ぎに展開される彼女の話は実話のようなトーンでスッと入り込んできて読み手を惑わせる。インドであってインドでない、彼女の物語であって彼女だけのものでない、それらが波のように力強くうねり一切を呑み込んでいく。
そんな言葉の混沌の隙間に、「ことば」のない心が美しく繊細に描かれたりする。思わずグッときて、読み返したら泣いてしまいそうだ。
そういった無数の人生と記憶が埋め込まれたこの本に懐の深さを感じた。できるなら私もここに静かに加わりたい。

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