集英社文庫『カフカ ポケットマスターピース01』の「作品解題」にある数行のおかげで、それまで読めなかった「巣穴」が読めるようになった話。
https://twitter.com/do_dling/status/1400456738571096092
《このテクストの語りは、現在時制の用い方に特徴があるとされる。たとえば、「ときおり巣穴の外に出ることにしている」のように習慣的な意味で用いられていたはずの現在形が、いつのまにかリアルタイムのできごとを報告する現在形に移行しているのである。そのため読者は、自分がどこにいるか分からない方向喪失の感覚を味わう。》p.768
こう指摘されてから実物を見て「ここで移ってる」「ここもそうなってる」と気づくと、急に読めるようになったんでした。
それまではいともたやすく作品の放つ魔法に引っかかっていたということ。
正体を明かされたために魔法がはんぶん解けたのはよかったのか、それはいまも気になってます。