腐った赤ん坊につきまとわれたり、ひどい扱いを受けたホームレスの呪いで街中に災禍が起きたり、街のあちこちにいる死んだ子どもたちを見てみぬ振りをして暮らしたり、カリスマ的ロックスターの死骸をファンが掘り返して貪ったり――
中でも凄まじかったのが、「どこにあるの、心臓」。異常のある心臓の音に取り憑かれた女性が、知り合った心臓病男性の鼓動を薬や酒でさらに異常にして心音を聴き続けるという…。「戻ってくる子供たち」は、失踪した子供たちが一斉に戻ってくるが…という街で起きる「ソラリス」でよかったです(作中〝日本人は、死んだあとに魂が行く場所はスペースが限られていると信じている。いよいよ限界が来てそれ以上入りきれなくなると、魂はこの世に戻ってき始める。〟という会話が出てくるんですが――それは日本人というか、黒沢清の『回路』なんでは……! とちょっと笑った)。