確定申告で消耗がひどく、がっつり食べようと、税務署から歩ける場所にある評判の店に行ってみたらけっこうな行列だった。赤いジャンパーに赤いマフラーにグレーの帽子をかぶったしゃれたお爺さんが、歩くのもやっとらしくスチロール箱の上に座っていて、順番のよくわからないままわたしたちはその斜めに並んだものの、いっこうに列が動かないので帰ろうかなと思ったところで、後ろに恰幅のいい爺さんが並び、「ええ赤でんな」と赤いお爺さんに話しかけ、赤いお爺さんは嬉しそうに何度か頷くもうまく喋れないらしく、恰幅のいいお爺さんの足元をしきりに指差す。見れば、鮮やかな赤い靴で、恰幅の爺さんもまんざらでなさそう。赤いお爺さんのつきそいの女性もなにか言いたげに自分の足元を見る――赤いスニーカーだった(『ジョーズ』で名誉の負傷自慢をするふたりに、自慢するものがない所長が盲腸の手術痕を眺める場面を思い出す)
ちなみに、この量で800円の定食。