遊仙窟を読む。漢文資料を扱っているくせに、これまで読んだことがなかった。
遊仙窟 (岩波文庫) | NDLサーチ | 国立国会図書館
https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002028874
遊仙窟は短いし、これは現代語訳なのでさらっと読めてしまう。原文や訓読文がない代わりに、醍醐寺蔵写本の影印が付いていて、注も豊富というマニアックな作り。あとがきを読むと醍醐寺から写真掲載の許可が下りたのは、予想外のことだったようです。とっつけた感じがしないでもない。
日本古典文学への影響が多いことでも知られるが、和漢朗詠集や新撰朗詠集に引かれるくだりは、影印から原文を探してみる。
容貌似舅 潘安仁之外甥 氣調如兄 崔季珪之小妹 張文成
容貌のかほばせは舅に似たり 潘安仁が外甥なれば 氣調のいきざしは兄のごとし 崔季珪が小妹なればなり(和漢朗詠集706)
めっちゃイケてるその顔はスーパースターの血筋だからというくだり。
可憎病鵲半夜驚人 薄媚狂鷄三更唱曉
アナニクノ病鵲ノヤモメカラスヤ 半夜ニ人ヲオトロカス 薄媚トナサケナキ狂鷄ノウカレトリノ マタアケサルニ曉ヲトナフ(新撰朗詠集732)
後朝の別れが辛いというくだり。三千世界の烏を殺し、の元ネタ。