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私は秋永先生の江戸言葉関連の業績はほとんど見ずに来ました。歌舞伎や小唄、踊りやそれに関わる芸人さんのことが教養と結びついている、それを知らない無粋なやつは田舎者だ、という都市人の気位みたいなものがどうしても苦手だったからです。でも私も50を越えて、山形で地元の言葉に付き合って、ああ先生はこういう生きた言葉にほんとうの愛着があった、失われていく江戸弁に哀惜の情があったんだということが、ようやく腹の深いところで飲み込めた気がします。
ja.wikipedia.org/wiki/秋永一枝

私が知っている秋永先生は当然のことながら教壇にたつ一面に過ぎないわけで、亡くなってから色んな人から話を耳にして、やっと「人間秋永」の肌触りが分かってきたような気がしています。墨田区両国の下町で育った一人の市井の人間として、ご自身の言語学の知見を生きた世界に還元されようとしていたんだなと今は思います。(2/3)

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