いっつも私だけがどきどきしてるし顔を赤くする、と彼女は頬を膨らませるけれど。
彼だって高揚もするし鼓動を高鳴らせたりもする。身体も熱くなる。つまらない男の矜持で、顔や態度に出さないだけで。
そして、空離れの季節を迎えて人肌が恋しくなったのか、無防備にくっついてくるようになった恋人は、ようやくその事に気付いたらしい。
アルウェスの懐に額を懐かせたかと思えば、瞬きをしながら面を上げ。伸ばされた白い手がアルウェスの頬を包む。
ナナリーが驚きを滲ませた声で呟く。
「いつもより温かい。え、熱でもあるの?」
「何でそうなるの。……僕だって、好きな子に急に抱きつかれたら、多少動揺するし照れもするよ」
表情は取り繕えても、体温は統率出来ない。感情の振れ幅に合わせて熱くなるがままだ。
アルウェスも動揺するのね、と少し嬉しそうにナナリーが声を弾ませる。何も知らない、鈍感で愛しい氷の魔女。
アルウェスの感情を揺らすのは、昂ぶらせるのは。炎のように熱く、それでいて制御不可なものへと変えてしまうのは。
彼の心に真の意味で熱を灯せるのは、もうずっと前からたった一人だというのに。
#1T67SS
熱いのは君のせいだから(感想)
@coral35 ありがとうございます!6も7の事を「何この可愛い生き物」と思ってます!
7は恋愛においては6が何歩も先に行ってしまっているだろうなってちょっと寂しく思ってるので、自分だけじゃないのが分かって嬉しくなっちゃいました✌
感情表現好きと言って頂けて嬉しいです!