昨日今日の虎に翼(批判的な感想) 

優三さんの死を隠していた父のエピソードの帰結があれで、すっかり気持ちが離れてしまった。
女性の人権状況に異を唱えてきたはずのドラマで、娘の結婚候補者への身辺調査という悪習をほっこりエピソードにしちゃう神経がわからない。
死を隠していたことやその理由が「寅子が倒れたら困る」だったことや実は結婚相手として不満だったという、一生禍根を残しても無理ないような話が「ダメで愛しいおとうさん」に回収されて美談になってしまう。
隠されていたことにはノーコメントで“おとうさん今までありがとう”をやる寅子の反応も解せない。これじゃ家父長制礼賛じゃんか。
花江が怒っていいと言ったこともなんかうやむやに無効化されたし。
「なんじゃこりゃ」です。今まで描いてきたことは何だったの。戦争が本格化してからの虎に翼、歯切れが悪いどころか現状追認と消極的な肯定ばかり。戦争自体を自然災害のように描く筆致も嫌だ。直道も優三も国に殺されたのにその視点がまったくない。
弁護士を辞めてから寅子の心は折れているのだと思うし、そのせいで現実を諾々を受け入れて流しているように見えるのだ、これからまた立ち上がる描写が来るんだ、と思って見てきたけど、ここから立ち上がってももう気持ちがついていかなそう。ほんとうにがっかり。

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昨日今日の虎に翼(批判的な感想) 

直言の告白の途中からコミカルな音楽が流れ出してほっこり感が強まるのもグロテスクだと思った。
完全無欠の団結家族だった猪爪家にひびが入って、寅子の中に父への不信や葛藤が生まれたりして、死後どう悼んで死者と付き合っていくかに微妙な襞が生まれる……みたいな話、にはならないよねえ……。ここからどう展開するにしても直言はもう免罪されちゃう気がするんですが。
娘を所有物扱いしていた過去を告白して気持ちよくなってる父に、当の娘がこれまでの感謝を述べてうるうるするのが家父長制礼賛じゃなかったらなんなんだ……?いやほんとなんじゃこりゃ。

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