御剣怜侍と狩魔豪の話
傍から見たら逆裁1-3までの御剣は狩魔豪の教えを忠実に遂行する教え子、狩魔豪とほぼ同一のような検事と思われてたかもしれないけど、
狩魔豪にとっての「有罪が正義」は被告人を有罪にすることで「カンペキな自分自身」を証明するためのもの
対して御剣怜侍にとっての「有罪は正義」はそれを信じていたっていうか…「信じないと息ができなかった、生きていけなかった」というのが起点なんだろうと思う 本当に疑念は1ミリもなかったかというと…持ちそうになっても御剣はそれを持たないように押し殺していたんだろうな
この話前にした気がするけど再放送でも喋りますね…
幼少期の御剣は「法」を、「弁護士」を絶対的に、ある種盲目的に信じていた それがDL6号事件で尊敬する父も弁護士への信頼も、法は正しいものを導いてくれるという信頼も足元から崩れ去る
その苦しさと行き場のない怒りや憎しみ、そして自分がやったのでは?という向き合うのが恐ろしい疑念
反動のように盲目的に信じたのは狩魔の教えだった
9歳の子どもが親も信じたものも失って、夢も失って、そして友達とも離れて…そりゃ何か新しい指針がないと、それに縋らないと生きていけなかったよと思う
御剣はそうしないとあの時まで生きていけなかったけど、それは昔の自分の口を塞ぐことでもある
御剣怜侍と狩魔豪の話
「これが本当に正しいのか」それを疑ってしまったら御剣はまた動けなくなってしまいそうだから、疑う気持ちも無理矢理にでも捨て去った
だから1-3で御剣は「余計な感情を思い出した」って言ったんだろうなと思う
思い出さずに疑わずに盲目的に信じていられたら苦しみなんて思い出さずに済んだのに でも「思い出した」ってことはさ、本当はずっと御剣の中にあったんだよ 捨てられてなかった ずっと押し殺していただけ
逆検2での狩魔豪が「警察など信じられないから自分で捜査する」と言ってたけど、御剣は「警察の捜査を信じてるから自分の仕事は被告人を有罪にすること」というスタンスで(御剣本人じゃなくイトノコ刑事からの言葉だから、イトノコ刑事の解釈も入ってるかもしれないけど、それほどイトノコ刑事は信頼してくれているということでもある)、その時点で狩魔豪と御剣怜侍の根本は違うんだよな
狩魔豪は自分以外の他者を信用しないけど、御剣怜侍は信じる心を捨ててないし、根本では光を信じている そういう人である あのとき成歩堂を助けた御剣はまだ御剣の根っこで生きていた 御剣はそれから目を逸らしていただけで