昔のフランスは、カトリックの権力が強かったのでそれを否定するため、共和主義では世俗(=非宗教)であることを徹底しています。それが今では特定の宗教の人たちを公の場所から排除するように右派が作用させてしまっているんですよね。
(公立学校におけるムスリムのスカーフやアバヤの着用の問題)。
第二次大戦中、フランスはナチスに占領され、当時の政府はホロコーストに協力したという過去があります。
なので戦後は当然「ナチス(協力政権)と闘った」という正統性を持つ、ド・ゴール派やフランス共産党(PCF)が覇権を握ることになりました。
そして、戦後にフランスで極右であるということは、ホロコースト協力者の仲間であることを意味し、彼らは社会的に認められる存在ではありませんでした。
しかし20年ほど前、極右のルペンが仏大統領選の決戦投票に残るという大事件が起きます。
日本で小泉政権が人気だったころです。新自由主義的社会再編への不安がそうしたポピュリズムとして表れ始めた時代だったのだと思います。
それ以来、仏の極右はさまざまな形で「普通」アピールをしてきました。今回のルペン(娘)の「ユダヤ差別反対デモ」参加もその一環です。
そしてこの極右の動きは、冒頭に書いた、ムスリムを排除する共和主義右派の流れとも響き合っているのです。