ちょうど最近『光の護衛』(チョ・ヘジン著、金敬淑訳)所収の「東の伯の林」という短編小説を読みました。
ヨーロッパ留学中の韓国の人たちが大量に本国に連れ去られた、いわゆる「東ベルリン事件」を扱った作品です。実際の当事者だった音楽家・尹伊桑(ゆんいさん)氏をモデルにした人物がでてきます。
訳者あとがきでは
「1967年に韓国中央情報部がドイツとフランス在住の韓国人教授、留学生、芸術家などを東ベルリンにある朝鮮民主主義人民共和国大使館と接触し韓国に対するスパイ活動を行った嫌疑で大量に逮捕」、
「二百三人もの関係者が取り調べを受けたが、最終審でスパイ容疑が認められた者は一人もいなかった」
「中央諜報部の要員が現地で海外在住者を誘引もしくは強圧的方法で拉致し、取り調べの過程で暴行や電気拷問、水責めを行った」
と事件を解説しています。
作家は1976年生まれなので、音楽家と交流があった人物の孫が主人公となり、現在からこの事件を振り返るという形式で書かれます。
同書には、在日出身で韓国留学中に逮捕・投獄された「ソくん」の思い出とともに生きる女性をその甥の視点から描く「モノとの別れ」も収録されています。(「ソくん」のモデルは徐京植さんの兄、徐勝さんです)。
意外に身近に過酷な現代史があることに胸が痛みます。
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