『MIU404』完走の感想 2/2
主役二人が冷静と情熱コンビなのはバディものの基本だけど、志摩のようなルールを厳守するキャラクターは、単に杓子定規でお堅い人として描かれやすい。ゆえにルールを破ることが物語的なカタルシスをもたらしがちだ。
けど志摩は一貫して「警察は権力を持っているからルールを守らなくてはいけない」と考えており、物語的にもルールを破る展開が爽快さに繋がっていかない。
とかく警察の公権力としての危険性をオミットしがちな刑事物において、主人公がこうした倫理観をもっているのはかなり稀だろう。これひとつ取っても、警察に課されたルールが事件解決を邪魔するハードルとしてのみ描かれてきた往年の刑事物とは隔世の感がある。
なんというか、王道はやっぱり面白いし観客は今でもオーソドックスなものを求めている。でも、価値観がアップデートされていないとただの古い作品になってしまい、その辺がきちんとしてると"今の王道"として新鮮さを与えられるし、きちんと受け入れられるんだよなと思った。