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『MIU404』完走の感想 1/2 

星野源が悪い意味で話題になってる時期に書くのもあれだけど、ドラマは名作だと思うし、いいと思った部分が部分なだけに今回の件を残念に感じてもいるので。

全体的にやってることはすごくオーソドックスな刑事ドラマでありバディもの。でも、すべてが洗練されていてものすごく現代的。超よくできた新たな王道だと感じた。
まず綾野剛×星野源のバディが相性もキャラ造形もこれ以上なく良い。ラスボスである空虚な悪としての菅田将暉も素晴らしく、いずれも演者の力を堪能できる。
と同時に脚本は『アンナチュラル』より明確に社会的メッセージを発する内容になっていて、どの回も熱くて見応えがある。実は表層と骨格だけを見れば『踊る~』シリーズと似た部分も多いのだけど、この圧倒的なメッセージの正しさと倫理観のブラッシュアップが現代にふさわしい作品にしていると思う。

『MIU404』完走の感想 2/2 

主役二人が冷静と情熱コンビなのはバディものの基本だけど、志摩のようなルールを厳守するキャラクターは、単に杓子定規でお堅い人として描かれやすい。ゆえにルールを破ることが物語的なカタルシスをもたらしがちだ。
けど志摩は一貫して「警察は権力を持っているからルールを守らなくてはいけない」と考えており、物語的にもルールを破る展開が爽快さに繋がっていかない。
とかく警察の公権力としての危険性をオミットしがちな刑事物において、主人公がこうした倫理観をもっているのはかなり稀だろう。これひとつ取っても、警察に課されたルールが事件解決を邪魔するハードルとしてのみ描かれてきた往年の刑事物とは隔世の感がある。
なんというか、王道はやっぱり面白いし観客は今でもオーソドックスなものを求めている。でも、価値観がアップデートされていないとただの古い作品になってしまい、その辺がきちんとしてると"今の王道"として新鮮さを与えられるし、きちんと受け入れられるんだよなと思った。

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