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『本心』鑑賞。平野啓一郎の小説を映画化した社会派SF作品。
高齢者や障害者に"自由死"が認められた近未来の日本で、突如母を失った石川。平穏に暮らしていた母はなぜ自由死を選択したのか、死の直前に聞けなかった「大事な話」とは何か。
母の親友だった三好を巻き込んで亡き母のVF(ヴァーチャル・フィギュア)を作成した石川は母と対話を試みるが、事態は思わぬ方向に進んでいく。
一方、行動を代行する"リアルアバター"として生計を立てる石川は身勝手な客に振り回され、突発的にある行動をとってしまうのだが…。

テクノロジーの発展が生み出す労働者の奴隷化、経済格差、社会の差別などを描きながら、人間にとって心とは?"本心"とは何か?という哲学的な問いにリーチしていく。キャストの演技はどれも素晴らしく、邦画もちゃんと社会風刺できるじゃん!と嬉しくなる完成度だった。

主演の池松壮亮が原作を読んで監督に映画化を提案したらしく、それも納得の演技。生きるの下手くそで、情けなくて、それでいてなんだか恐ろしさを感じさせる主人公を体現しており、間違いなく代表作となる一作。
今年、『ぼくのおひさま』『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』と良作が続いている中でもベスト池松だった。
胡散臭い妻夫木聡も、ナチュラルに傲慢で感じ悪すぎる仲野太賀も素晴らしい。仲野太賀にこんなムカつく日が来るとは(笑)

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