『ソウルの春』
ぶっちぎりの怪演を見せるファン・ジョンミン始め名優フルコースだけでも満腹なところ、韓国近代史の闇を描き出す重厚な物語、臨場感と緊迫感溢れる映像に終始圧倒された。韓国映画の強みが凝縮された大傑作!
台詞のある登場人物だけで60人を越え、しかもほぼ全員が軍服おじさんという大群像劇にもかかわらず混乱することがない。顔だけで印象に残る役者一人一人の力、一直線で見やすいストーリー。だからこそ観客は集中して"国の行方を変えた9時間"を体験することが出来る。
韓国近代史に少しでも関心のある人なら、この後民主化されるまでにどれだけの長い時間と人命を含む多大な犠牲が払われたかを知っているだろう。『ソウルの春』という壮絶な物語は悲劇の始まりにすぎない。そのことが本編以上に重い読後感を与える。
とにかく韓国映画好きなら必ず見るべき近代史ものの新たなマスターピースであり、骨太の映画を見たい人なら逃す手はない傑作。