『密輸1970』で字幕が"家政婦"となっている部分、元の台詞ではシンモ(食母)と言っています。
食母とは1950年代に韓国で一般化した住み込みで家事手伝いをする10~20代の女性のこと。元は口減らしのために貧しい農村部から余裕ある都市部の家庭に子どを出す仕組みとして広がり、親や保護者が一定の金と引き換えに子どもを送り出した。
当時は労働や人権に関する法整備もゆるく、食母となった子どもたちは最低限の衣食住を保証されるが賃金はおやつ代程度か無給で、特に10代後半までは無償で働かされる場合が多かったそう。
チュンジャは「14歳から食母生活を始めた」と言っているので、おそらく賃金ももらえないまま働かされ、あげく家の主人から乱暴され、自分を送り出した実家にも帰れない状況だったのでしょう。
1960~70年代にはソウルの二軒に一軒は食母がいるほど一般化し、中産階級向けのアパートには最初から食母用の部屋が設けられるほどに。
しかし1970年代後半に入って工業化が進み、女性たちに工場労働の道が開かれると食母は急速に減少。1980年代半ばには消失しました。あの海を汚染したような工場が、一方では女性の自立を手助けしたのですね。
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