『密輸 1970』映画の時代背景が70年代なだけでなく、映画そのものの色調や演出までオーバーなくらい"70年代ぽい"作りになっていて、パロディの趣すらある。そのさじ加減がまあ絶妙にうまいんだよな。
ケイパーもの(違法な手段で大金を取り合う映画)って小手先だけの頭脳戦みたいになりがちだけど、本作は騙し合いもありつつとにかく肉体派なのが印象的。監督お得意のアクションシーンは言うに及ばず、主人公である海女さんたちの潜水シーンもすごく身体性があって美しい。
あと、台詞に「オヤブン(親分)」など日本語由来の単語が何度か出てくる。"親分"は現代ノワールでも聞いたことあるから今も使われる言葉なんだろうけど、70年代は今より植民地時代の名残も濃厚だったという演出なのかなぁ。この辺はちょっと判断がつかなかった。