山田の長い舌が相澤の耳に捩じ込まれた。ぐちゅぐちゅと淫靡な音が鼓膜を震わせ、個性により直接刺激された脳味噌が、更に追い打ちを掛けられるように、ジンと甘く痺れる。
「んあ、ッ、みみ、……や、めッ♡」
「消太は耳弱いもんなぁ」
「あ、ア゛ッ♡両方ッ、無理ッ♡」
『しー、いい子に出来ねえと、またお仕置きだぜ？』
「ッ、オ゛♡……ぼい、す、しきゅ、ッひびく……ッ♡」
　もう無理だ。立って居られないとガクガクと下半身が震えながら訴えてくる。
　相澤の後ろに立つ二人の男はその身体を、股の間に脚を差し込んで其々支えてやりながら、相澤の脚を広げさせると、ドアに相澤の股間を押し付けさせた。
　カエルのような体勢でドアに貼り付けにされ、身動きが取れない中、二人は其々の舌を相澤の耳の中に捩じ込み、乳首を弄る指も、中を擦り上げる指の動きも止めず、登り詰めさせる為に快楽を与え続けた。
　初めから相澤に耐えさせるつもりなど、二人には微塵も無かったのだ。
　偶には場所を変え、趣向を凝らすのも面白そうだと思って、二人は迎えの車を敢えて出さなかった。
　二人にとって相澤は頼れる相棒であり、可愛いくて仕方なのない、大事な恋人でもある。

　大事にしたいと思うのと同じ程に、意地悪をして泣かせてしまいたいと思う幼稚さを、どうしても幾つになっても捨て去れないのは、羞恥を与えればいつもより乱れ、身体を熟れさせ、甘美な色香を漂わせる、この目の前の男のせいであるのだから、仕方がないのだ。
「ハハッ、消太そんなにイきてえの？　腰揺れてる」
「本当だ。我慢しろって言ってんのに」
「消太は俺達に、お仕置きされてえんだもんな？」
「ッあ、ちが……ンッ♡」
「ヘコヘコ腰揺らして、チンコドアに擦り付けて何が違うんだ？」
「全く、淫乱な恋人を持つと大変だぜ」
　こんな密封された車内で、滾りを放ってしまえばどうなるかなど分かって居たが、相澤は無意識に揺れる腰を止めることが出来なかった。
　中途半端に高められ、決定的な刺激は一向に与えられて居ない。態と快楽が突き抜けるであろう箇所は一歳、指が掠めすらしないまま、四本の指が、グポグポと音を立て抜き差しされていた。
　もどかしい。駄目だと分かっていても、この中途半端な快楽の波から早く逃れたかった。
「ここでイったらそうだな……朝までお前のことバイブ挿れて放置して、お前の目の前で白雲と女抱こうかな」
「ひざし酷えな。それ、消太泣いちまうじゃんか」

「泣いてる相澤、可愛いじゃん」
「お前、歳とってクズみが増したな」
「お前には言われたくねえよ。今日だって、電車で相澤のこと痴漢しようって言い出したのお前じゃん」
「やってよかっただろ？　可愛い消太いっぱい見れてるし」
　会話を遮るように、車内アナウンスが響いた。徐々に電車のスピードが落ちていく。
「やべ、降りるところここだ」
「消太よかったな、イかずにすんだじゃん」
　テキパキと慣れたように相澤の身なりを整えた二人は、何事もなかったかのように、ドアが開くと相澤と其々手を握り人混みに紛れて行った。
「ッ、あ、……ん゛、ッぅ♡」
「なぁ、消太の様子おかしいんだけど、ひざしなんかした？」
「ローター入れといた。無線のやつ」
　山田はポケットから四角い小さなリモコンを白雲に見せると、指の腹で小さなレバーを押し上げた。
　途端に相澤はガクリと腰を折り、内腿を擦り合わせるようにしながら動きが止まる。
　ふー。ふー。と荒い呼吸を繰り返しながら、肩を震わせた。
「イったらお仕置き、継続中♡」
「あーあ、ひざし意地悪だな。頑張れよ消太！」

この後、山田の運転する車の中後部座席に押し込まれた相澤は、白雲に身体中を弄られ、時折山田にローターの振動を変えられ、三人の自宅兼事務所に帰るまで、めいいっぱい決定的な快楽は与えられないまま焦らされ続けられましたが、お仕置きが回避出来たかどうかは、彼等のみぞが知る。

お粗末様でございました。
長くなってしまいましたが、お付き合い下さりありがとうございました。