先週は、アンドレイ・クルコフ『灰色のミツバチ』(沼野恭子訳/左右社)を読みました。
物語が幕を開けるのは、ウクライナ軍と親ロシア勢力が争う前線のグレーゾーン。その小村には主人公の半隠居した養蜂家セルゲイ・セルゲーイチ(49)と、腐れ縁の元同級生パーシャしか残っておらず送電も絶えている。ウクライナのパスポートを持つがロシア語話者のセルゲーイチは、村を出て南下するが、村の外もまた不条理で、なにもかもさだかではなく、ユートピアではないのだった……。
悲惨な境遇も描かれていますが、情けなくコミカルな場面も多く、分厚いけれどあっという間に読めました。好きな本でした。
最後のほうでミツバチが灰色になっていたり、ミツバチにまつわる悪夢を見たりするシーンでは、ふとミヒャエル・エンデ『モモ』の「灰色の男たち」を連想しました。
sayusha.com/books/-/isbn978486

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超常的とまでは言えないものの世が世ならサンリオSFから出版されていてもおかしくないくらいspeculativeなのでは?と思って検索したら、副産物として『ペンギンの憂鬱』が台湾師範大学のEuropean Speculative Literature(ヨーロッパのSF文学)という講義で取り上げられているとわかりました。
興味深かったのでシラバスPDFのリンクを貼っておきます。課題作、アンドレアス・エシュバッハ以外はたぶん全作日本語訳があるのではないかな?

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